中級・上級レベルの動機

これまでの復習

ここまで、ラムリム(段階分けされた精神的な道)についてお話してきました。私たちは初級レベルから上級レベルへと、一歩ずつ動機(モチベーション)の範囲を広げていきます。つまり、各レベルはその前のレベルの成果の上に成り立っているということです。

一歩一歩自分を成長させていくのには二つのやり方があることもお話しました。一つは、自分自身の現世の生をより良いものにし、より良く生きることを目的としたダルマ・ライトです。ほとんどの場合はここから始めなくてはなりません。しかし、伝統的なラムリムの教えにはダルマ・ライトは含まれません。始まりも終わりもない転生を信じていることを前提にしているからです。真のダルマ、つまり砂糖入りのリアルなコカ・コーラのような「真の」レベルでは、この成長を転生の文脈の中でとらえます。

これまでにお話してきたのは初級レベルの動機についてです。他の全てのレベルと同じく、初級レベルの動機にも目標があり、その目標に達する理由も、達したいと私たちを駆り立てる感情もあります。初級レベルでは自分の未来の生をより良いものにするために努力します。自分を高め続けてより大きな目標を達成するために、確実に来世も再び人間に生まれるようにしていくのです。私たちは、この生涯の間に究極的な目標を達成するのは難しいと気づきます。最終目標に達するにはとても長い時間と大変な労力が必要です。ですから、目標に向かって進み続けるために、善趣(転生する三つの良い境涯・三善趣の一つ)に転生できるように努めるのです。

これが、人間に転生するという目的を果たした後にしようとしていることです。天国に転生して楽しく暮らすことを目指しているのではありません。初級レベルで私たちに善趣への転生を求めさせるものは、悪趣(転生する三つの悪い境涯・三悪趣の一つ)に転生したくないという恐れの気持ち(dread、ある可能性を嫌だと思う気持ち)です。悪趣に転生してしまうと、自分を高める努力をする機会を持てなくなります。けれど私たちはすでに、それを避ける方法があることをよく知っています。つまり、これまでにお話してきた安全な方向性(帰依)です。この方向性とは、私たちの精神活動(特に言動)に伴うネガティヴな点や制約を、完全かつ永久に停止させるように努力することです。同時に、建設的な言動にも努めなければなりません。このとき私たちは、貴重な人間の生が与えてくれる多くのチャンスに感謝し、死によってこの生が必ず終わることも理解しています。私たちは必ず死にます。そして、いつ死ぬのかは誰にも分かりません。

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